<ボランティアガイドTさんより>
春からの農耕を助け稲田を守ってくださった田の神さまに、収穫を感謝し新穀でつくった神饌 (しんせん)、神酒でもてなすのが「秋祭り」です。
町中で、「ワッショイワッショイ」の声が聞こえると、なぜか胸がワクワクします!!
今回は、二つのお祭りを紹介します。
まずは、村屋神社の秋祭りです。
主神の三穂津姫命(みほつひめのみこと)さまは、高皇産霊命(たかみむすびのみこと)さまの姫神で、大物主命(おおものぬしのみこと)さまと縁結びをされたという神話に出てくる神さまです。この故事から、縁結びの神さま、家内安全の神さまとして信仰されています。
祭りの日、巫女が、平神楽(ひらかぐら)・榊の舞・扇の舞・剣の舞・矛の舞など、代々伝えられてきた「代々神楽(だいだいかぐら)」を奉納します。
巫女の“神楽舞”は必見です!!
「代々神楽」は、村屋神社独自のもので代々受け継がれてきました。
奈良中部地区に、今でも残っている神楽舞のほとんどが、村屋神社の原型になっているか、何らかの影響を受けています。
この神楽舞は、古代芸能の名残であるといわれています。
つぎに、池神社の秋祭りです。(今年は10/19・20)
池神社は、正式には、池坐朝霧黄幡比売神社 (いけにいますあさぎりきはたひめじんじゃ)といいます。
朝霧の中に黄色の幡がたなびく池のそばにおられる姫神さまの神社って、すてきでしょう!
主神の天萬栲幡千千比売命(あまよろずたくはたちぢひめのみこと)さまは、機織の神さまです。古くは池の神さまでした。
中世には、菅原道真公もお祀りし、神社の屋根瓦には「梅紋」が見えます。
池神社の秋祭りは、各垣内から繰り出す5台の「山車(だんじり)」が⾒事で、伊勢音頭に合わせ鳥居をくぐり、神殿前に整列する宮入り(15時ごろ~)や園児のたる太鼓が、神事に彩りを添えます。
⼭⾞は近世の製作で、中国古典などを題材とした彫刻が施されています。
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では、「田原本に伝わる昔ばなし」をしましょう。
池神社の隣には、法貴寺千万院(ほうきじせんまんいん)があり、木造薬師如来さまと十二神将がまつられています。
人々は、病をいやしてくれる仏さまとして千萬院そのものを「薬師(やくっ)さん」と呼んで親しんでいます。
しかし、その十二神将にさわろうものなら、急に腹痛がおこったり、病気になるというのです。
また同所にまつられている木造不動明王さまも、これをさわったり動かしたりすると、たちまちに祟(たたり)があるといって、人々はさわることを大変に嫌います。
このように、さわることを嫌う仏さまがいる反面、さわっても良いとする仏さまがおられます。
木造の賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)さまです。
自分の体のどこか悪いところがあれば、賓頭盧(びんずる)さまのその部分をさわると病がいえるというので、いまも賓頭盧(びんずる)さまの頭や肩を多くの人々がさわっているようで、その部分は光って見えます。
お祭りを楽しむと同時に、千万院の仏さまに会いに行くのも、楽しみの一つでしょう!!
〈ここまでの参考文献〉
日本大百科全書(ニッポニカ)
田原本町に伝わる昔話 – 第11話/田原本町
https://www.town.tawaramoto.nara.jp/soshki/kyouikuiinkai/library/kanko/story/1200.html
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以下、津島神社と鏡作神社の秋まつりのお知らせです