~ ボランティアガイドMさんより ~
5月19日に今里の杵築神社(きつきじんじゃ)に行ってみると、昨日までにらみをきかせていた、今里の昇り竜は今朝はすっかり脱皮していた。エノキもすっきりしたようだ。
近くでは農家の人たちが出て「つゆはり」(水路掃除、かわほり)の作業をしていた。6月2日の蛇巻きをひかえて、水の神の来臨を待つ欠かせない共同作業である。
5月26日の早朝には、鍵の辻の蛇巻きの地を掃除している青年たちに出くわした。昨年結成された「今里蛇巻き保存会」の地元中学生十数名の男女たちである。
一年間ものしずかに鍵村を守ってきた蛇巻きは、朽ちてやせ細って、まもなくその役目を終える。
青年たちは次の蛇巻きを迎えるために、居座る床を綺麗にしていた。古くから青年の仲間入りをするしきたりは、いまも確かに残されていた。
【6/2当日】
そして、いよいよ6月2日、鍵・今里地区では青少年を中心にした「蛇巻き」の行事が賑やかに行われた。
とりわけ存続が危ぶまれていた鍵地区は、昨年発足した「保存会」によって予想外の盛況となり、かつての蛇巻き行事の賑わいを取り戻したようである。
鍵は午後2時に八坂神社出て練り歩き、今里は3時杵築神社を出て各家々を訪問する。
両地区のOBたちも、蛇づくりには力がこもって果敢にいどんでいた。
途中30分ばかり俄か雨があったが、蛇は「水の神様」だ。うってつけの天気だろう。いい人・いい水・いい天気の言葉があるが、地域の人々の安全と五穀豊穣を祈る祭りは成功裡に終わった。
大麦で編まれた大蛇たちは、陽に輝いて若々しく神々しくさえあった。これから一年、東北東を向いて睨みをきかし、世の中の安穏を祈り続けるのである。
<鍵>
<今里>
そろそろ小麦の刈取りが始まった。汎用コンバインが瞬く間に穂先を摘み取ってしまい、麦籾(もみ)はライスセンターへ運ばれていく。
令和6年産小麦から奈良県全域で「はるみずき」に切り替えて栽培されている小麦。パン粉など、学校給食用に使用されるという。
麦の刈取りが終わり、田植えが始まるころ、しばらくは梅雨の季節に入る。いい雨・いい水をと願いたいものである。